「コンピュータにはCPUがある」というのは一般的に知られていますが、近年ではGPU(グラフィックス処理装置)やNPU(ニューラルプロセッシングユニット)の活用も重要になっています。
特に、AI(人工知能)の発展により、GPUやNPUがどのように機能しているのかを理解することが求められる場面が増えています。
しかし、「CPUとGPU、NPUの違いがよく分からない」「どんな場面で使われるのか知りたい」と思う方も多いのではないでしょうか?
本記事では、CPU・GPU・NPUの役割や特徴を、できるだけ専門用語を避けて、身近な例を交えながら分かりやすく解説します。
さらに、医療AIでの活用例についても紹介するので、医療従事者の方がAI技術を理解する助けになれば幸いです。
CPU・GPU・NPUとは? – それぞれの役割と得意分野
コンピュータの処理を担当する主要なプロセッサには、CPU・GPU・NPUの3種類があります。
それぞれ異なる特性を持ち、得意な処理が異なります。
ここでは、「もし病院の業務を人に例えたら?」という視点で考えてみましょう。
1-1. CPU(中央処理装置) – 指示を出す「医師」
CPU(Central Processing Unit)は、コンピュータ全体の動作を制御するプロセッサです。
人間の脳のように、指示を出し、複雑な判断を行います。
🏥 病院の業務に例えると…?
➡ CPUは「指示を出す医師」のような存在です。
診断を行い、処置の指示を出し、治療方針を決定します。
CPUの特徴
✅ 汎用的な計算が得意 – アプリの実行、データ処理、OS(基本ソフト)の制御を担当。
✅ 複雑な処理を効率よく管理 – 近年はマルチコア化が進み、並列処理にも対応。
✅ 他のプロセッサと連携し、全体の処理を最適化 – 例えば、電子カルテの動作や患者データの管理を担当。
👉 具体例:電子カルテの動作
病院で電子カルテを開いたり、患者の診療情報を入力したりする際、CPUがその処理を担当します。
1-2. GPU(グラフィックス処理装置) – 大量のデータを処理する「検査機器」
GPU(Graphics Processing Unit)は、元々は画像や映像の処理に特化したプロセッサですが、近年ではAIの学習や大量のデータ処理にも活用されています。
🏥 病院の業務に例えると…?
➡ GPUは「大量のデータを処理する検査機器」のような存在です。
CTやMRIなどの画像を一度に解析するのに向いています。
GPUの特徴
✅ 大量のデータを並列処理できる – 並列処理(同時にたくさんの計算をこなす処理)が得意。
✅ 画像や映像の処理が得意 – 例えば、MRIやCTの画像処理を高速化。
✅ AIの学習・推論にも活用 – 画像生成AIや自動翻訳の処理も担当。
👉 具体例:医療画像診断AIでの利用
MRIやCTの画像をAIが解析し、異常の有無を判断する技術が進んでいます。
この際、GPUが大量の画像データを一度に処理し、AIの学習や推論を高速化します。
1-3. NPU(ニューラルプロセッシングユニット) – AI処理を専門とする「技師」
NPU(Neural Processing Unit)は、AI(人工知能)の推論処理に特化したプロセッサです。
特に、画像認識や音声認識など、リアルタイムでのAI処理に適しています。
🏥 病院の業務に例えると…?
➡ NPUは「専門技師」のような存在です。
特定の業務(例えば血液検査や画像診断)を専門的に担当し、正確な結果を素早く提供します。
NPUの特徴
✅ AIの推論処理を効率化し、CPUやGPUの負担を軽減 – スマートフォンやエッジデバイスでリアルタイムAI処理を実行。
✅ 低消費電力かつ高速 – クラウドAIの推論よりも低遅延で動作可能。
✅ スマートフォンや自動運転分野で活用が進む – AppleのA17 ProやGoogle Tensorチップにも搭載。
医療AIでの活用例 – 画像診断・音声解析とプロセッサの関係
✅ エッジAI(端末上でのAI処理)では、NPUが省電力でAI推論を実行し、クラウドを介さずリアルタイム処理が可能。
✅ 例えば、ポータブル超音波診断装置がその場で画像解析を行い、素早く診断を支援する。
まとめ
プロセッサ | 役割 | 得意な処理 |
---|---|---|
CPU | コンピュータ全体の制御 | OSの管理、電子カルテ操作 |
GPU | 並列処理 | 画像解析、AIの学習・推論 |
NPU | AIの推論処理 | 画像・音声認識、エッジAI |
今後、AIと医療の融合が進む中で、GPUやNPUの活用がより重要になります。
医療現場でも、プロセッサの役割を理解し、適切な技術を選択することが求められるでしょう。
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