n-gram言語モデルとその限界を解説!Transformerで解決する方法も紹介

ロボットの口から英単語が出ている様子 AI
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n-gram言語モデルについて聞いたことはありますか?
n-gramモデルは、テキストデータから次に来る単語を予測するための手法の一つですが、いくつかの課題もあります。
本記事では、その基本的な仕組みと課題、そして最新のモデルであるTransformerがどのようにしてその課題を解決するかをわかりやすく解説します。

n-gram言語モデルとは?その基本的な仕組みを解説

n-gram言語モデルは、テキストデータを解析するための基本的な機械学習モデルです。
このモデルでは、直近のn-1個の単語を使って次の単語を予測します。
例えば、以下の文章を考えてみましょう。

「患者は薬を」

ここで次に来る単語を予測するには、「患者は薬を」の単語の組み合わせ(n-gram)を使用して次の単語を予測します。
n-gramモデルでは、このように過去のn-1個の単語を使って次の単語を予測します。

具体的には、nの値に応じて以下のように分類されます:

  • unigram (n=1): 一つの単語だけを使う
    (例:「患者」→「は」→「薬」→「を」→「飲む」)
  • bigram (n=2): 直近の1つの単語を使う
    (例:「患者は」→「は薬」→「薬を」→「を飲む」)
  • trigram (n=3): 直近の2つの単語を使う
    (例: 「患者は薬」→「は薬を」→「薬を飲む」)
    「患者は薬」という3つの単語の組み合わせを使って次の単語「を」を予測し、その後「は薬を」を使って次の単語「飲む」を予測

例えば、bigramモデルでは、「患者は」の後に来る単語を「薬」と予測する場合、その組み合わせの出現頻度や条件付き確率を計算して次の単語を予測します。
このように、n-gramモデルはシンプルで計算が軽量な点がメリットです。

データスパースネス問題とは?n-gram言語モデルの課題

n-gram言語モデルの課題の一つに「データスパースネス問題」があります。
これは、特定のn-gramの出現頻度が低い、または存在しないために、モデルが正確な予測をできなくなる問題です。

例えば、医療記録に「患者は薬を服用した後、症状が改善した」というフレーズが少ない場合、n-gramモデルはこのフレーズの出現頻度が低いため、正確な予測ができません。
特に、nの値が大きくなる(例:4-gramや5-gram)と、この問題はさらに顕著になります。
可能な単語の組み合わせが増えるため、トレーニングデータに存在しない組み合わせが多くなり、予測が難しくなります。

データスパースネス問題を克服するために

データスパースネス問題克服するために、より高度なモデルであるTransformerが開発されました。
Transformerは特に「セルフアテンションメカニズム」という仕組みを使い、長距離の単語間の関係性を捉えることができます。

セルフアテンションメカニズム(自己注意機構・Self-Attention Mechanism)は、各単語が文中の他の全ての単語とどのように関連しているかを計算します。
これにより、n-gramモデルのように直近の単語だけでなく、文全体の文脈を理解することができます。

例えば、以下の文を考えてみましょう。

「患者は薬を服用した後、症状が改善した」

n-gramモデルでは「薬を服用した」と「症状が改善した」の関係性を捉えにくいですが、Transformerは文全体を見渡して、「薬を服用した後」という条件が「症状が改善した」という結果にどのように影響しているかを理解できます。
これは、Transformerがセルフアテンションメカニズムを使って各単語間の関係性を同時に評価することにより可能になります。

実際の医療データ解析においても、Transformerを用いることで、複雑な文脈を理解し、より精度の高い予測や分類が可能となります。
例えば、電子カルテの文章を解析し、患者の状態を正確に推測することができます。

まとめ

n-gram言語モデルは、機械学習の初学者にとって理解しやすく、計算も軽量な基本的な手法です。
しかし、データスパースネス問題などの限界があります。
自然言語処理(NLP)タスクにおけるパフォーマンス向上に加え、この問題も解決するために、Transformerが開発され、セルフアテンションメカニズムを利用することで、長距離の単語間の関係性を捉えることが可能になりました。

医療データ解析においても、Transformerを活用することで、より正確な予測や分類が実現し、医療の現場で役立つ情報を提供できます。
機械学習の基本を押さえつつ、より高度な手法にも目を向けることで、データ分析の可能性を広げていきましょう。

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