AIや機械学習の世界では、LLM(大規模言語モデル)の活用が進んでいますが、その性能を最大限に引き出すためには、適切なプロンプティングが欠かせません。
本記事では、Few-Shot、Zero-Shot、CoT(Chain of Thought)という三つのプロンプティング手法に焦点を当て、初心者でも分かりやすく具体例を交えて説明します。
Few-Shotプロンプティングとは?初心者向けの具体例解説
Few-Shotプロンプティングの定義と基本概念
Few-Shotプロンプティングとは、少数の例(ショット※)を使って、AIモデルに新しいタスクを推論させる方法です。
一般に、LLMは大量のデータで事前学習されていますが、Few-Shotプロンプティングでは、適切な文脈で数例のデータを提供することで、新しいタスクを一定程度実行させることができます。
ただし、タスクの難易度や複雑さによっては、必ずしも少数の例だけで完全な精度を達成するわけではありません。
※「ショット」は英語で「一回の試み」や「一度の行動」を意味する
少数の例を用いたプロンプティングの利点
この手法の利点は、短時間で効果的にモデルを新しい状況に対応させられる点です。
例えば、新しい製品のレビューを分類する場合、いくつかのサンプルレビューを示すだけで、モデルがそのパターンを理解し、正確に分類することができます。
具体例:テキスト分類タスクにおけるFew-Shotプロンプティングの応用
例えば、良い評価と悪い評価を分類するタスクを考えます。
以下のようにFew-Shotプロンプティングを行います
- 「この商品は素晴らしい!」(良い評価)
- 「全く使い物にならない」(悪い評価)
これらの例をモデルに提示すると、モデルは次の新しいレビューに対しても正確に分類を行うことができます。
Zero-Shotプロンプティングの基本と活用法
Zero-Shotプロンプティングの定義と基本概念
Zero-Shotプロンプティングとは、モデルに一切の具体例を提供せずに、新しいタスクを推論させる方法です。
つまり、事前学習で得た知識を活用して、具体的な例を示さずに未知のタスクに対処します。
ただし、モデルの事前学習データの質と量に大きく依存します。
事前知識がないタスクへの適用法
Zero-Shotプロンプティングは、特に新しい質問や未見のタスクに対する応答を生成する場合に有効です。
例えば、モデルに「ペンギンは飛べますか?」と質問すると、事前にペンギンに関する具体例を見ていなくても、「いいえ、ペンギンは飛べません」と回答することができます。
具体例:未見の質問に対するZero-Shotプロンプティングの使用例
実際の例として、旅行ガイドに関する質問を考えます。
例えば、「日本でおすすめの観光地は?」と質問すると、モデルは事前知識を活用して「東京、京都、奈良などが人気の観光地です」と回答することができます。
CoT(Chain of Thought)で論理的な回答を引き出す方法
CoTプロンプティングの定義と基本概念
Chain of Thought(CoT)プロンプティングは、一つの問題を複数の小さなステップに分解し、それぞれのステップを順番に解決していく手法です。
これにより、複雑な問題に対処する際に役立ちます。
Zero-Shot CoTでは、プロンプトに「ステップ バイ ステップで考えて(Let’s think step by step)」と付け加えます。
一方、1-Shot CoTでは、ステップバイステップの解法を示した1つの例を提供し、それを基に推論を行わせます。
複数ステップの推論を必要とするタスクでの利点
この手法の利点は、ステップバイステップで論理的に問題を解決できることです。
例えば、数学の問題を解く場合、各ステップを丁寧に考えながら解答を導くことができます。
数学の問題は、しばしば複数のステップを必要とする複雑な問題であり、それぞれのステップが次のステップに直接影響を与えます。
したがって、一つ一つのステップを理解し、それらを順番に解決していくことが重要となります。
具体例:問題解決タスクにおけるCoTの実践
例えば、「ある数列の次の数を求める問題」を考えます。
数列が「2, 4, 6, 8, ?」の場合
Zero-Shot CoT
このアプローチでは、例を示さずに「ステップ バイ ステップで考えて」とモデルに指示します。
質問:「数列が 2, 4, 6, 8, ? の場合、次の数をステップ バイ ステップで考えてください。」
1-Shot CoT
このアプローチでは、ステップバイステップの例を1つ提供してから、新しい問題を解かせます。
例の質問:「数列が 2, 4, 6, 8, ? の場合、次の数は何ですか?」
例の答え:「次の数を見つけるために、まず各数の間の差を確認します。2つずつ増えています。したがって、8に2を足すと次の数は10になります。」
質問:「数列が 3, 6, 9, 12, ? の場合、次の数は何ですか?」
Zero-Shot CoTや1-Shot CoTプロンプティングを使用することで、モデルが論理的に問題を解決する能力を向上させることができます。
まとめ
本記事では、LLMのプロンプティング手法であるFew-Shot、Zero-Shot、CoTについて、初心者向けに解説しました。
これらの手法を理解し、適切に使い分けることで、AIモデルの性能を最大限に引き出すことが可能です。
AIの効果的な活用を目指すために、ぜひこれらの手法を試してみてください。
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